皆さま、こんばんは。
このような辺境まで、お越し頂き、ありがとうございます。

かなり(?)時間が空いてしまいましたが、やっとこさ最終話について、まとめてみました。

これだけお時間を頂いてしまったのは、理由があります。

この最後の記事は、サクラダリセットと言う作品自体への一つの感想でもあります。

時間がかかったのは、私個人が、この作品を楽しんだうえで、
受け取った多くの物を、一つ一つ言葉にし、表現しまとめると言う作業が
恐ろしく大変であったからでもあります。

そして、実際に書いてみたら、殆ど全てのキャラの全ての言葉を解説したくなるという
なんだか、解体新書みたいな本末転倒な文になりまして、一回ブラッシュアップしました。

それでも、最後という事もありまして、妥協したくなかった事もあり、
作品に触れた方へ向けて、私なりの解釈と、偽らざる思いを形に残しておきたかったのです。

なので、過去、私の人生観を変えてくれたこの作品と真摯に向き合いたかったため、
この様に多大なるお時間を頂きました。でも書きたいことは全部書けてない(ぉ

今考えれば、この記事に到達するまで、ほぼ1年かかってる訳です。非常に長い。
ですが、それだけの価値ある作品であると、私は声を大にして伝えたいです。

さて、この最終話については、総括の意味もありますが、
見る方によって受け取り方にかなりバラつきが出るのではと思っております。
実際、私自身、若かりし頃、原作を読んだ時と、今回のアニメ完走後では感想が異なりました。

更に、ここまでの記事を書くにあたって、原作は読み返しておりません
アニメを中心に、過去の断片的な記憶から抜粋して、感想を書いております。

そのため、恐らく、思い違いや、情報の祖語が発生していると思うのですが、
今現在の、私の感じた物をそのままに出したかったので、この様な形で記事を書かせて頂きます。
なので、正確な情報と言うより、あくまで、私個人の感想として、お読み頂けると助かります。

また、前半戦を含め、今迄の解説記事はこちらになります。
サクラダリセットのススメ
中学生編まとめ①
第3・4話まとめ 
第6~8話まとめ
第10話まとめ
第12話まとめ
第12話~15話まとめ
第16話~19話まとめ
第20話まとめ
第21話まとめ 
第22~23話まとめ

3人の想いが交錯し一つの決着を産んだ

最終話である第24話は、正に決着と呼ぶに相応しい回でした。
最後の1話の中に、今迄の全てが内包され、総括されていると言っても過言ではありません。

3人の物語の行く末は?
そして、この物語の根底に横たわっていた物は何だったのでしょうか?

そうした物に、一つの答えを与えるのが、この第24話でした。

己の過ちを指摘された 春埼美空

神社で野ノ尾さんを説得していた春埼ですが、同時に、相談にも乗って貰っていました。

春埼美空が友人として、野ノ尾さんと接し始める様になってから、
お互いに刺激し合い、変化して行く様子が、ここに描写されています。

また、野ノ尾さんは、『ONE HAND EDEN』のおじいさんとの一件を受けて、
その考えに変化が訪れていました。
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それまでの彼女であれば、猫を犠牲にするやり方など、受け入れる事は無かったかと思います。
彼女は人が苦手でした。猫さえいればいい。そういう考え方だった筈です。

彼女がもつ猫との意識共有能力も、そういった気持ちから生まれてきた物です。
ですが、彼女も変わりました。

大切な猫たちを犠牲にしてでも、人を救う方法を受け入れようと葛藤する様子が描かれています。
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そして、春埼もまた、野ノ尾さんと話す中で、色々な事を気付いていきます。

※以下作中の台詞です
ケイにも間違っている点はありますか?
あるだろう、勿論。
君は彼が何も間違えないと思っているのか?
もしそうなら、それはちょっとした悲劇に見える。
彼が何も間違えないのなら、もしも間違えた途端に、
彼が浅井ケイでは無くなってしまうのなら、悲劇的だ。
何一つ間違いが許されない様な生き方に、私なら耐えられないよ。
この言葉が、春埼美空の心を強く揺り動かし、自分の過ちを知るきっかけとなったのでした。

自らの過ちに気付き倒れた 相馬菫

一方で、倒れた相馬菫。
彼女もまた、漸く、己の過ちに気が付き、そして限界を迎えて倒れました。
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彼女は、何に気が付き、何を間違えたというのでしょうか?

それは、年長者達が口を揃えて言っていましたね。

自らの過ちに気付きつつ動けなかった 浅井ケイ

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作中で彼は、まるで何でもできる様に描かれてきました
冷静沈着・大胆不敵・頭脳明晰。

彼が常に正解を選び、様々な問題を解決するかのように、描かれてきました。
まぁ、物語ですから、ご都合主義な所もあるとは思います。

ですが、本質は全く別です。
確かに彼は、頭が良いですが、間違えも数多く犯してきました。
それを自分で知っているからこそ、彼はここまで臆病なのです。

※以下作中の台詞です
対応が早いね。こうなる事を知っていたの?
いいえ、でも予想はしていました。
それで、君はどうするの?
予定通りに彼女を助けるんですよ。
予定通り相馬菫は傷付いた。
だから僕は、予定通りに彼女を救わなければならない。
浅井ケイ、君は正義ではないね。
善でも純粋でもない。でもきっと、ヒーローではあるんだろう。
夢のように万能を望みながら、万能にはなれない。
どれだけ弱くて残酷でも、傍からはとてもそうは見えなかったとしても。
僕は、ただ、我が儘なだけです。
浅井、その我が儘を、人は努力と呼ぶんだ。

正義の味方である宇川さんの言葉だからこそ、重みがあります。

浅井ケイは、自分の事を我が儘なだけだと、言いました。
そんな彼を、宇川さんは「ヒーロー」と表現しました。

困った人がいたら、手を差し伸べずにはいられない。
そんなヒーローと言う称号を、浅井ケイに送ったのです。

二人が犯した過ち それは浅井ケイへの依存

彼女達は、形は異なる物の、どちらも浅井ケイへと依存していました
この事実を知っておかないと、この話で起こるキャットファイトの意味が理解できません。

春埼美空は 浅井ケイを「崇拝」していた

彼女達の口から事ある毎に出て来た、浅井ケイへの評価。

彼は絶対に間違えない

この言葉が、彼への依存を明確に示しています。
彼女は、野ノ尾さんに指摘されるまで、その言葉の意味する所が理解できていませんでした。
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それは、盲目的に彼に依存している事に他なりません。
彼の選ぶ選択肢を、鵜呑みにし彼自身にのみ全て背負わせる行為です。

春埼美空は、彼の役に立ちたいと願っているのに、全てを彼に背負わせてしまっています
それは、春埼美空自身の事も全て含めての話です。

だって、リセットを指示するのは浅井ケイであり、その選択肢を選んだのは、浅井ケイなのですから。

彼女がリセットを使用するのは、浅井ケイの為であり、
同時に、リセットの責任も浅井ケイに負わせることになります。

彼女は選択していません。
故に、彼女は無意識に自分の能力の責任から逃げていた事になるのです。

それに気づいた時、彼女は、自分の事も勿論ですが、彼と一緒に責任を負いたいと思うようになります。
それは、真の意味で、彼の隣を歩く事……つまりパートナーになるからですね。

相馬菫は 浅井ケイの「幻想」を追っていた

さて、春埼美空に対して、相馬菫はどうだったかと言うと、こちらも同じです。
彼が間違えない。彼女はそう考えていました。

しかし、彼に任せておけば大丈夫……と言いつつも、実は彼女の行動は、矛盾しています
一体、何処が矛盾しているのでしょうか?

一見すると、彼女は彼の為に、献身的な振る舞いを見せていました。
身を粉にして、全てを犠牲にして、彼女は浅井ケイの為に行動しました。

はて? おかしいですよね?
え? おかしくない? 何故でしょうか?

だって、浅井ケイは間違えないんですよ?
だったら、春埼美空の様に、最初から相談してしまえば早いと思いませんか?

いや、それは、春埼美空と一緒になるのを待ったから……?
え? だって、浅井ケイは間違えないんだから、どちらにしても正解を掴むのでは?

それが依存になる事を、知っていたから?
それはもしかしたらあるかもしれません。
ですが、聡明な彼女の事です。気付いていたなら、別の方法を取れたはずです。

結局、もっと根本的な所で、彼女は間違えました。

彼女は、浅井ケイの為、と言いつつも、彼女一人の判断で事を成そうとしました。

こちらは、春埼美空とは本質は同じですが、現象は対照的です。
相馬菫は、全て一人で抱え込むことで、浅井ケイへの負担を失くそうとした事もあるのでしょう。
ですが、実際はその逆で、全てを浅井ケイに背負わせることになっています。

浅井ケイの為、と言いつつも……
実際は彼が本当に望んでいるかどうかわからない事に、勝手に邁進してしまいました。

もっと別の理由もあるのですが、理由の一つに、
彼の未来を何度も見ていくうちに、最終的に独善に陥ってしまったと言う一面がありそうです。

浅井ケイは、善を成す事に憧れていました。
そこに私情を挟まず、ただただ、善を成す為に善行を積むことを、善と思っていました。

そして、相馬菫の能力は、未来視ですが、それには大きな代償がありました。
未来視を使った時、その対象の感情や記憶を重ね合わせてしまうと言う物です。

つまり、未来視を使えば使う程、記憶と感情を共有するのですから、
結果として、その対象に人格が近付いていくことになります。
よって、彼女は、浅井ケイの為に、浅井ケイ化したと言っても良いのではないかと。

結果として、彼女は大きな間違いを犯しました。
彼はどうしようもなく善人なので、彼自身の事は顧みません

彼女は浅井ケイを愛するが余り、無意識のうちに浅井ケイ化し……
そして、自身の為に浅井ケイの幸せを願ったのです。

盛大なる矛盾です。

だって、彼の為と言いながら、自分の為に彼の幸せを求め
その挙句、自分の幸せを顧みなかったのですから。

計画を遂行した段階では、彼女の中でこれこそが、唯一無二の方法でした。
相馬菫の幸せは掴めなくても、浅井ケイの幸せが守れればそれで良いと言う考えです。
実はそれだけではないのですが、そういう一面が強かったのは事実です。

さて、ここで問題です。
果たして浅井ケイは、自分の為に傷付く相馬菫を見て、真の意味で幸せになれるでしょうか?

勿論、答えはです。

彼は欲張りなので、自分の周りの人が不幸になる事を許容できません。
ましてや、後に復活したとはいえ、死んだことがトラウマになる位、近しい人の事です。
浅井ケイなら、相馬菫が不幸になる事など、絶対に許容できない筈なのです。

そして、心の奥底で、相馬菫はその事に気付いていながらも、
とある感情が強すぎたせいで、そのやり方を押し通しました。

だから、彼女は間違えました
浅井ケイが、そのやり方で幸せになる筈など、これっぽっちも無いんです。

浅井ケイが望んだもの

さて、最終話にして、やっとこの話ができます。
わ、忘れてたわけじゃないんですよ? 書けなかったんです。

何故なら、この設定が物語の大きな根幹の一つだからです。

記憶保持能力の本質

皆様が見てきた通り、浅井ケイの能力は、記憶保持と言う
まぁ、有りていに言えば、微妙な能力です。

別に誰かをどうにかできる訳でもないですし?
言ってしまえば、自己で完結してしまう能力ですから。

ちなみに、浅井ケイが頭が回るのは、単純に彼自身の力です。能力ではありません。
子供の頃から、彼は小賢しい程頭の回転が早い子でした。

咲良田の能力は、自分が心から願ったものが発現します。
という事は、彼は、何かを願って、この能力を発現したんですよね。

彼は一体、何を願ったのでしょうか?

全てを背負うため、彼は記憶保持を望んだ

答えは、全てを背負うためです。
それは、相麻菫と話していた時にも、彼自身が告げています。

しかし、ちょっと意味がわからない人もいるかもしれません。
私はおっさんになってしまったので、この言葉の意味が心に来るのですが、
特に若い人だと、混乱してしまうかもしれませんね。

なので、まずは、第二期OPを聞いてみましょう(唐突
本当は良くないのですが、今回はちょっとフルバージョンを拝借。
歌詞もついていますので、是非、歌詞を見ながら聞いてみて下さい。

いやぁ、いい曲ですね。
もし気に入ったら、是非、購入して下さいね! それも応援ですから。

さて、それ以上に、この歌詞、私としては
浅井ケイの事をよく表していると思うのですが、皆様はお気づきだったでしょうか?

この曲の中で、小説・そして栞として描かれているものが、記憶保持の本質です。
つまり、それは『思い出』なんです。

人生は一冊の小説のようなものです。
そして、思い出とは、その何処かに挟まれた栞のようなものです。

ただ、いかんせん、人とは忘れる生き物なので、思い出は薄れていきます
どんなに頭の良い浅井ケイでも、その絶対的な理から逃れることは出来ません。

彼が嫌がったのは、正にそれなのです。

思い出が薄れるということは、その時の決意や感情が曖昧になるということです。

どんなに立派で崇高な決意をして、それに邁進したとしても……
その志は、多くの時間と幾多の経験を通して、薄れていくものです。
結果として、初期の崇高な念は形を変え、最終的に破滅するなど、歴史が物語っております。

私にしたって、3日坊主などと言う言葉がある通り、直ぐに挫けるように出来てます(ぉ

ですが、もし、その時の想いを正確に覚えていられたとしたら、どうでしょうか?
幾多の経験を通しても尚、初心を忘れず、感動と熱意を失わなかったとしたら?
自分の人生という小説に挟んだ栞を目印に、めくって確認することが出来たら?

そう、浅井ケイが願ったのは、自分自身の決意を歪めず、そのまま背負うためのものです。
そして同時に、それは次々と背負うものを増やしていくことにもなります。

後悔も喜びも、全てを背負って、それを戒めにして彼は進もうと決めたのです。
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だから、彼は生きれば生きるほど背負うものが増えていくわけです。
ましてや負の感情など、大負担も良いところです。

だから、相麻菫は、背負わせてしまったと泣いたのです。
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そして彼はヒーローになった

最終話で唐突に、この言葉が出てきて、
皆様の中には「ん?」って思った方も多かったのではないでしょうか?

なんせ、いきなりでしたし、何というか、彼にはちょっと似合わない言葉ですし。
連呼されると、何となくむず痒い言葉でもあります。私だけ?

そもそも、なんでヒーローなの? とか、
正義の味方」と何処が違うの? と、思っている方もいらっしゃるかと。

この作品での正義の味方と言えば、何と言っても、宇川さんです。
その宇川さんが、第23話でこんな事を言っていました。
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※以下作中の台詞です
盗むの?
そろそろここから逃げたほうが良い。
あなた、正義の味方でしょ?
あの自転車は不法駐輪だから、撤去されても文句は言えない。
私は善人じゃなくて正義の味方だからね。
どう違うのよ?
殴られても抵抗しないのが善人で、殴られれば殴り返すのが正義の味方だ。
そういう自覚的な正義の味方ってどうなの?
正義の味方は、自分の事を正義の味方と知っているものだよ。

宇川さん流、正義の味方論です。
世間一般的な正義の味方とは、些細な所でずれるかも知れませんが、彼女の正義は彼女の物です。

ここで面白いのは、彼女の正義の規範は、悪に立ち向かい、間違いを正すことにあります。
リセット前に浦地正宗に協力したのも、その範疇に収まっているからです。

しかし、今回は浅井ケイに味方しました。
何故なら浦地正宗は、嘘をついていたからです。
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そのため、彼女は彼女自身の正義にのっとって、浦地正宗と敵対しました。
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だから、躊躇なく殴りに行きます。
悪に立ち向かうのが、正義の味方だからですね。

さて、では、対して浅井ケイはどうかと言うと、ちょっと事情が違います。
彼は本質的に、善をなそうとしてしまう、宇川さん曰く「善人」なので、
とりあえず助けたいと思ったら、助けようとしてしまいます

ここが宇川さんと大きく異なるところです。
彼女は、相手がどんなに可哀相な人でも、苦しんでいたとしても悪と判断したら躊躇しません
戦隊モノのノリが脳裏に浮かぶほど、清々しいほど、悪に対して容赦がありません。
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だから、「ONE HAND EDEN」で、レプリカの世界を消し去ったのです。
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浅井ケイは、違います。
眼の前で泣いていたら、それが誰であれ、手を差し伸べてしまいます
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困っている人がいたら、助けてしまいます。
どんなに胡散臭くても、かっこ悪くても、彼はつい動いてしまいます。
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どうしようもなく善人で、どうしようもなく優しいのです。
だから、彼は、正義の味方ではなく、ヒーローなのです。

優しすぎる彼は、どうやって目の前の涙を消すかを考えてしまうからです。
そして、そのあり方は、彼が憧れ求め続けたものでもあります。
それをヒーローと呼ばずして、何と呼べば良いのでしょうね?

お互いを許容できない女二人のバトル

さて、ついにこの二人について、書くところまで来てしまいました。
前に述べたように、浅井ケイを心から愛してやまない二人です。

ですが、もう、これがまた何もかもが決定的に正反対なため、どうやっても仲良く出来ません。

何でそんな事になってしまったかと言うと……
実はこうなることは、最初から決まっていたからなんです。

無自覚なまま『全て』を手に入れている 春埼美空

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春埼、可愛いですよね!
シリーズを通して、変わっていく彼女は如何だったでしょうか?
もう、すべてが可愛くて仕方ないです。私もそう思います。

彼女は、浅井ケイの隣で、時間をかけてゆっくりと彼を知っていきました。
時間をかけて、浅井ケイの好みの女性となりました。

勿論、それは、相麻菫が画策したことでもある訳ですが、
それを抜きにしたとしても、彼女には多くの時間が与えられ、
そして、これからもそうなるでしょう。

何故なら、有り体に言えば、彼女は浅井ケイの運命そのものだからです。

実は、浅井ケイが春埼美空を好きになるのは必然であり、それ以外の選択肢は無いのです。
それは、浅井ケイが咲良田に来た時に、既に決まったことだからです。

浅井ケイが初めて咲良田に来た時、一度、管理局に連行された事を覚えている方もいらっしゃるかと。
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この時、彼は為す術もなく、周りの事態に翻弄されるだけでした。
彼の意思とは関係なく、全てが決められてしまうと思われたその時……

そう、リセットが発動したんです。

勿論、これは、春埼美空がどこかで何かの悲しみに直面して、衝動的に使ったものでしょう。
いわば、偶然、浅井ケイはそれに巻き込まれ、自覚できてしまったに過ぎません。

ですが、この事で、浅井ケイは、自分の意志で過去を捨て去る決意ができました。
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これは、彼にとっての最初の一歩であり、決意の瞬間なのです。
そして、その決意をする時間と機会を与えてもらったことは、彼にとっての救いでした。

彼の能力は、記憶保持ですから、この時の心境も色褪せること無く思い返せます。
勿論、その機会を与えてくれたこの不思議な現象を、覚えていないはずがありません。

まぁ、結果として、そこから数年、春埼美空に会うまでは、何も出来ずに鬱々と過ごすのですが。

そして、数年を経て、彼は屋上で春埼美空のリセットを体験し、そして確信します。
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あの時の出来事は、彼女の能力のお陰だ……と。

そして、彼女のことを知るにつけ、彼女に惹かれていきます。
元々、感謝していた人と理想の人が同一人物なら、惚れないわけはないんですよ。

だから、彼女は浅井ケイにとって運命そのものだったんです。

どうやっても浅井ケイを手に入れられない 相麻菫

対しての、相麻菫です。

彼女が浅井ケイを知るのは、それから更に後です。

まぁ、つまり、既に春埼美空と浅井ケイの断ち切れない繋がりができてしまった後、
相麻菫は、浅井ケイに心の底から、捕らわれてしまいました。
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ですが、全てが手遅れであり、いくら未来視を駆使しても、
どうやっても彼女一人では浅井ケイを幸せにできませんでした。

この状況での、彼女の心境を想像すると、本当に不憫でなりません。
恋い焦がれる人は、何をどうやっても自分だけのモノにならないことが確定しています。

未来を見て、愛する彼を幸せにできるのが他の女性だけと言うのが、相麻菫にとって
どれ程の屈辱であるかは、もう、ここで語る必要もないかと思います。

でも、愛する人には幸せになって欲しい。

だったら、せめて、自分の事を一生忘れられないくらい、愛する人の心に刻みつけてやろう

そんな思いに捕らわれてしまっても、誰が責められるでしょうか?
先程書いたとおり、彼の幸せを真の意味で願うなら、それは悪手です。

ケイに相談すれば、善人な彼はきっと何かの方法を一緒になって考えてくれたかもしれません。
ですが、彼女は、浅井ケイの幸せと、彼の心に強く残る方法を選びました。

言うまでもなく、彼女は嫉妬にかられて動いていたのです。
だから、彼女は一人で全部をこなし、自分自身の力だけで、彼の為に動いたのです。
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理由は一つ。
どうしようもなく無自覚に全てを手に入れている春埼美空に一矢報いるためです。

だから、致命的に相性が悪い二人 だけど解りあえる

そんな背景を持つ二人ですから……まぁ、仲良くできる訳無いです。
だって、相麻菫も言っていましたが、『致命的に相性が悪い』んですから。

最後のキャットファイトやその先についても色々と説明を挟もうと思いましたが、
二人の立場の違いが明確となれば、多くを語る必要はないと考え直しました。
決して、力尽きたからではない。

作中にもあったとおり、
どちらも己の意地をかけ、浅井ケイの為に動いたわけです。

そして、二人はお互いを心底、羨んでいたわけですね。
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心にとめておきたい おじいさんの言葉

第13話での野ノ尾さんとおじいさんとの会話は、生きるヒントが凝縮されています。
折角ですので、私見を交えてご紹介しておきたいと思います。

Aの箱とBの箱の話

これは、私から見れば、価値観とその尺度の話でした。

※以下作中の台詞です
どうすれば正しいが見つかるんだ?
頭の中に二つの箱を用意するんだ。
AとB、空っぽの二つの箱。
うん、それで?
Aの箱には思いつく限り、何もかも入れる。
何もかも?
そう、何もかも。
例えばこの世界には、何がある?
ねこ。
それもある。他にもあるだろう?
私と君と……両親と……ミルクとクッキー。
その通りだ。他にも靴下や洋服や法律や嘘やオイラーの公式なんかがある。
公式?
この世界で最も美しいモノの一つだよ。
ともかく、色々なものを何もかも、その箱に入れるんだ。
シーツ、洗剤、ホイップクリーム、ブランコ、太陽、夜。
大体全部入れ終わったら、その中から正しくないものを見つけてBの箱に移す。
少しでも正しくないなら、容赦なく移すんだ。
嘘と靴下は正しくないな。
嘘はわかるが、靴下もか?
たまに左右を間違える。それに立って履くと、倒れそうになるから危険だ。
なるほど。
ホイップクリームに問題はないだろう。
食べ過ぎると体に悪い。それに口の周りがベタベタする。
なるほど。これはいつまで続ければ良いんだ?
Aの箱の中身を、一つ残らずBの箱へ移すまでだ。
一つ残らず?
この世界にあるものは、どこかしら正しくないものだよ。
どんな良いものにも、悪い所が一つくらいある。
そんなものなのか。
Aの箱の中身を全部、Bの箱に移してしまったら、今度はBの箱から、まだ一番マシなものを拾い上げるんだ。
それが君の正しいものだ。
だがそれは、どこか正しくないんだろう?
正しくない所を理解した上で、それでもなお、正しいものだけが本当に正しいものだ。
君は何を正しいと思った。
ねこ。
正しいものとはそうやって見つけるんだ。
このおじいさんの言葉は、私の価値観を大きく変えてくれました。

お恥ずかしい話ですが、若かりし頃、私は、正しくないものは悪いもので、
それは世の中にあってはならないもの、と言う印象を強く持っていました。

強いて言えば、どこか潔癖な思考回路をしており、
変な話、全ての物事は、白か黒で二分できると、漠然と無意識に考えていたのだと思います。

世間の言う正しいもの。常識、正義、善。
そういった物は、守るべきであり、守れて当然と言う、思考もありました。

なんでこんな事も出来ないのか?
こうすればもっと良くなるのに、何でしないのか?

きっとだらけているからだ、とか。
やる気がなくてだらしないからだ、とか。
兎に角、本当に自分だけの価値観に照らして、正しさを気取っていた部分がありました。

うん、大馬鹿野郎ですね。
過去に行けたらとりあえず、一発自分をぶん殴ってきます(ぉ

そんな潔癖な価値観は、この歳になってもなお、抜けきれてないものもありますが、
何でもかんでも、一方向の視点のみで決めつけることは、少なくなったと思います。

価値観とは、人それぞれで、同じ事でも、角度や味方によって、その見え方は大きく異なる。

それが自然と納得できたのが、このおじいさんの言葉からでした。

頭で言葉尻だけ知っている人は多いと思いますが、これを真の意味で理解し
且つ、実践できる人は、実際には、思っている以上に、少ないんじゃないかと思います。

私も実践できているとは言い難いですけど、常に意識はするようにしています。
でないと視野狭窄に陥って、最終的には世の中に不平不満をばら撒く存在に成り果てますので。

幸せの見つけ方とは?


※以下作中の台詞です
友人から君に一つ忠告をしよう。
なんでしょう?
君は俺とは違う。まだ若い。偽物の青を、本物の青だと信じ込むような事は、してはいけない。
青?
幸せの象徴だよ。
偽物の青と本物の青を、どうやって見分けるのですか?
誰かと一緒にいなさい。それだけでいい。
隣りにいる人が笑うことを、幸せと呼ぶんだ。
このおじいさんの言葉も、辛い時期に私の力となってくれました。

人は一人では生きていけない。
その本当の意味を、これほど綺麗に説明している言葉もありません。

そして、相麻菫が間違えたのは、まさにこの事です。

また、もし今、辛い方は、少しだけで良いので、この言葉を考えて欲しいです。

自分の事しか考えられないほど辛いなら、どうか休んで下さい。
何をして良いのかわからない人は、自分がされて嫌なことや、隣の人が悲しむことだけは辞めてみて下さい。
余裕のある人は、隣の人が笑顔になれるような事をしてみて下さい。

色々やってみれば、多分、解ってくると思いますが……
基本的に、人に迷惑をかけない範囲で自分が笑顔でいれば、隣の人も笑ってくれるでしょう。

辛い顔や、泣いている顔、怒っている顔の人が隣りにいても、隣の人は心から笑えません。
むしろそれで笑うなら、完全に嫌な奴ですから、それ。
一緒にいてくれる隣の人が、笑ってくれる生き方をしたいものですね。

登場人物全てが間違え そして再生した

この物語が視聴者に語りかけてくるものは、数多くありますが
私が一番、強く受け取ったメッセージは、やはりこの再生の部分です。

浅井ケイは、臆病すぎたため、中々一歩を踏み出せませんでした。
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相麻菫は、浅井ケイを欲し、嫉妬に狂ったあまり、道を踏み外しました。
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春埼美空は、その無自覚さ故に、本当に欲しいものを自覚するまで時を費やしました。
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全ての登場人物が、その都度、何かを間違え、それでも最後に落ち着く所に落ち着いた。
この物語は、そういう側面を持っています。

そうして、間違えて実行された、サクラダリセット
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本作の題名にもなっている、この用語。
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作中で浦地正宗が語るとおり、それに籠められた願いは、聖なる再生です。
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この言葉が一番、作品の全てを体現していました。

浦地によって引き起こされた、サクラダリセット。
それを浅井ケイが修正し、新たなサクラダリセットとして、再生しました。

この言葉の裏には、作者のメッセージが籠められていると、私は感じます。

皆が何かを間違え、それでも修正し進んでいけると信じる心

それを人は希望と呼ぶかも知れませんし、またある人は努力と呼ぶのかも知れません。
形はどうであれ、そういった気持ちを信じたいと思わせてくれる作品だと私は思います。

同時に、それは、過ちを許容する優しさでもあります。
間違えても良いんだよ。またやり直せるから。

私がこの作品を見た時、常にそういう優しい気持ちが裏に透けて見えていました。
それは、きっと浅井ケイが見ていた、優しい世界の一部なのでしょう。

こんなにも優しい世界に触れられた事を、私は本当に感謝しています。

そんな作品を作り上げてくださった、アニメスタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。
声優様の迫真の演技には、本当に引き込まれ、作品に飲み込まれました。
決して派手ではないけど、効果音・BGMも、あの作品独特の透明感を見事に作り上げてくれていました。

そして、アニメの原画・演出。
パッと見は、アニメとして動きのない様に感じられてしまうので、批判も多かったと思います。
ですが、私は逆に、作品の世界を綺麗に再現して下さってありがとうと、感謝したいです。

見せ方が地味とか、朗読劇のようだとか、あちらこちらで聞きました。

残念ながら、昨今の流行りには完全に逆行するアニメですので、致し方ないとも思います。
そのためか話題性はでませんでしたが、
私にとっては、一生をかけてこれ以上の作品には出会えないだろうと確信する出来でした。
こんなにも繊細な動きを表現しつつ、心を大きく揺さぶるアニメは、もう出ないでしょう。

そして、1年経って尚、何度見ても、あの尺でこの作品には、この演出しか無かったと思えます。

誰がなんと言おうと、私は、この作品が大好きであり、
そんな作品をこの世に送り出してくださったスタッフの方に心から御礼を言いたいです。

きっと、作ろうと思えば、本当に派手に作れたと思うんですよ。
見せかけだけなら、きっと色々と目を引く演出も可能だったでしょう。
ですが監督さんやスタッフさんは、最後までこの作品の持つ世界観を第一に考えて
丁寧に、そして壊れないように、優しく作って下さいました。

そして、最後に、本当に素敵な世界を生み出してくれた、原作者の『河野裕』様。
素敵な作品に触れる機会を与えてくださり、本当にありがとうございます。

この方の作品は、どれも本当に優しくて切なくて綺麗です。
興味のある方は、他の作品もぜひ、読んで欲しいです。
 
この作品に出会えて、私は自分の価値観を再生することが出来ました。
正に、サクラダリセットを体現できたと自負しております(言い過ぎ

読者の皆様はどうでしょうか?
自分の価値観を再生できたでしょうか?

もし、まだちょっと……と言う方がいらっしゃいましたら、
もう一度、最初から見てみると、新しい発見があるかも知れませんね。

違う経験、違う知識、違う価値観に触れて新生した時、
もしかしたら新しい発見があるかもしれません。

浅井ケイ程ではないにせよ、私達も思い出を背負って生き続けるのですから。

以上、長きにわたる記事となりましたが、お読み下さり、ありがとうございました。
本当に素敵な作品でした。この作品に触れられ、感動できたことに、心からの感謝をしつつ

終劇と致します。

※本記事の画像は、 以下の権利者より引用させて頂きました。
問題のある場合は、削除致しますので、ご連絡下さい。 
©河野裕・椎名優⁄KADOKAWA⁄アニメ「サクラダリセット」製作委員会