皆さま、こんばんは。
このような辺境まで、お越し頂き、ありがとうございます。

少し(?)時間が空いてしまいましたが、最終話までの最後の盛り上がり処である22話23話について、まとめてみました。

ここまで付いてこられた方なら既に、分っている事も多いかと思いますので、
必要ないかもしれませんが、まとめの意味も込めて、簡単に解説していきたいと思います。

また、前半戦を含め、今迄の解説記事はこちらになります。
サクラダリセットのススメ
中学生編まとめ①
第3・4話まとめ 
第6~8話まとめ
第10話まとめ
第12話まとめ
第12話~15話まとめ
第16話~19話まとめ
第20話まとめ
第21話まとめ 

浅井ケイの反撃

一度、能力の無くなった咲良田を経験した浅井ケイは、
その計画である、サクラダリセットを回避すべく、行動を起こします。

岡絵里の説得

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浅井ケイが絶対に味方につけなければならない人物、それは岡絵里です。
ここまでチラチラと要所要所で登場している彼女ですから、既に大筋で彼女の事は把握されている方も多いと思いますが、今一度、彼女について纏めてみたいと思います。

彼女の能力は、『他人の記憶を足したり、引いたりする能力』です。
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※以下公式からの引用です
他人の記憶を足したり、引いたりする能力を持つ。
他人に漠然としたイメージを植え付けると、相手が頭の中で勝手にそれに即した記憶を作り出す。
植え付けるイメージを上手く利用すれば、相手の行動を指定する事もできる。記憶を引く能力は、相手に何かを忘れさせる事ができる。

発動条件は、5秒以上目を合わせなければいけない
また、一人の人物に対して一種類の記憶操作しか使えず、新しい記憶操作を行うと、前の操作は効力を失う。また、外からきちんと指摘すれば、そのうち正しい記憶を思い出す。

他人に能力の使い方を忘れさせると、相手は能力を使えなくなる。能力の使い方は本人しか知らないので、他人が指摘することはできず、新しい記憶操作を行わない限り、永続的な効果を発揮できる。
記憶を操作する能力と言うのは、強力です。
実際、能力の無くなった世界で、もし岡絵里が、春埼のリセットを奪っていたら、詰んでいました。

ですから、浅井ケイが、彼女の協力を取り付けに行くのも納得ですね。

で、彼女の説得なのですが……このシーンは、彼女の行動原理が分かっていれば、納得です。

彼女の至上命題……それは、浅井ケイに勝つ事です。

しかし、勝つと言っても勝利条件がはっきりとしません。
彼女にとって勝つというのは、どういうことなのでしょうか?

実は、彼女にとってもその辺りは曖昧だったのかもしれませんね。
今の状況は、元はと言えば、今の浅井ケイが過去の浅井ケイを否定した事から全てが始まっているのです。
彼女にとっては、過去の浅井ケイがヒーローでした。
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ですが、それを否定されては、黙っている訳にはいきません。
彼女の憧れたヒーローが、憧れの対象であった過去のヒーロー自身を否定するなど、あってはならない事なのです。

だから、今迄必要以上に、彼女は今の浅井ケイを敵視していた部分があります。
ですが、敗北宣言された後に、お願いまでされました。
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ましてや、過去の自分を認める発言が飛び出しました。
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この事によって彼女にとって、今の浅井ケイを憎む理由が無くなってしまったのです。
そうなったら、敵対する理由はありません。

しかし、この偉そうな説得は、正に浅井ケイらしい。
そして、このシーンを映像で見る事が出来て良かったです。何度見ても笑えてしまう。

そういういきさつがあり、最後は、あのツンデレ岡絵里も、説得に応じる事になった訳です。

仲間の説得と能力暴発事件の回避

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本来であれば起こった筈の、最初の能力暴発事件。
しかし、それは、浅井ケイが行動を起こした事で、回避されました。
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作中にもあった通り、能力暴発事件は、浦地政宗が時間を巻き戻した少女が、転倒した事で起こります。
ですから、転倒の原因となった床のタイルを、植え込みで塞いでしまった訳ですね。

この事をもって、2つの事が動きました。

一つは、暴発事件の直接的な回避。
もう一つは、浦地政宗に浅井ケイを強く意識させる事。
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特に、後者の方がどちらかと言えば本命ですよね。
計画を邪魔する者は、排除しようとするのが普通です。
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ですから、浦地政宗は、浅井ケイに連絡を取りました。
この流れまで、浅井ケイの掌の上です。

浅井ケイと浦地政宗のやり取りを聞いてもらった上で、仲間の皆に判断を委ねます。
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判断材料を出したように見えますが……実際のところ、これも全て既定路線でした。

未来視と罪悪感、そして救い

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このシーンで浅井ケイが呟いていた通り、ここまでも、未来視による既定路線です。
あの写真の世界の10分間の間に、ここまでも含め、12時までの未来を断片的に読んでいます
ですから、浅井ケイは、仲間の皆が協力してくれることを、この時点で既に知っているのです。

※以下作中の台詞からの引用です
ケイ、説得しなくてもよいのですか?
必要ないよ。写真の中の世界で未来視の能力を使った時、少しだけ未来を知ることが出来た。
それじゃあ
僕はあの五人に、選択肢を与えたフリをしただけだ。
彼らが何を選ぶのか知っている。僕は逃げてきたんだよ。
どんなに誠実な言葉でも、相手の答えを知ってから話せば、嘘みたいだ。
彼は、実際はそんな事にすら罪悪感を持つ様な臆病で善良な青年です。
そして、自分の事を逃げたと表現する浅井ケイに対し、春埼は、『良かった』と告げました。
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※以下作中の台詞からの引用です
良かったです。
貴方はいつも我慢してしまうから。
ちゃんと、逃げ出して、良かったです
春埼にまた語りかけられるのは、相馬の力だ。
これが、たったこれだけのことが、全てなんだ。
相馬が命をかけて届けようとした伝言の、全てなんだ。
春埼が、またこうして浅井ケイの隣りで笑いかけてくれている。
そのチャンスをプレゼントしてくれた、相馬菫に、改めて感謝するこのシーンが、儚げで優しく思えます。

そして、皆の協力を得て、浦地政宗との対決に臨むことになります。

浦地政宗との対決

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皆を説得したカラオケボックスで、今度は浦地政宗の説得が始まりました。
しかし……

『綺麗な祈りのような能力を残したい浅井ケイ』と、
『希望に見せかけて悲劇を生む悪魔のような能力を消し去りたい浦地政宗』とで、

互いの主張が真っ向から対立しており、のっけから完全に平行線です。

ですが、それもその筈。
お互いに、初めから話し合いなどする気はありませんでした。

浦地政宗は、加賀谷のロック能力で、浅井ケイをロックしてしまいたかった
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浅井ケイは、あわよくば記憶操作の能力で、浦地政宗の承諾を得る……フリをしていました。
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しかしどちらも、本命は時間稼ぎです。

浦地政宗は、加賀谷のロックを妨害される事は想定していました。
しかし、彼は管理局員です。
もし、浅井ケイが管理局員に能力を使って妨害すれば、それは、管理局への反逆の意思ありとなります。
その結果、合法的に、浅井ケイを拘束できます。ロックを使うより、遥かにスマートなやり方です。
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対して、浅井ケイもこの時、時間稼ぎをしていました。
作中でハッキリと描かれてはいませんが、津島先生の到着を待っていたのです。
同時に、宇川さんの能力発動の時間稼ぎも兼ねていました。
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そりゃ、あんなもんが、何十分も道路の真上にあれば、大変な騒ぎになります。
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勿論、浦地政宗に知られてしまえば水の泡ですからね。
だから、ギリギリのタイミングで、突貫工事した上、すぐに消したわけです。

そして、浅井ケイの思惑通り……
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二人はボッシュートされ、
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津島慎太郎が待っていた車へと、無事、送り届けられた訳です。
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ちなみに、浦地政宗が指摘していた通り、
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良く見ると、ソファーの後ろにちゃんと穴が開いています。
この穴を通して坂上さんが腕を伸ばし、岡絵里の能力を浅井ケイにコピーしていたのですね。
しかし、この一瞬に見せるとは、芸が細かい!

浅井ケイの説得

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ボッシュートにより、見事、浦地政宗を誘拐した浅井ケイ。
誰にも邪魔されない状況で、彼の本心を暴いていく為、浅井ケイは、この様な迂遠なやり方をとりました。

優しい大人 津島慎太郎

そして、その船頭役に選ばれた哀れな子羊……じゃなかった、優しい大人。
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そうですね、津島先生です。

流石に、最初のクラカワマリの時からの付き合いです。
彼は、浅井ケイの事を大人の中では一番良く分かっていました。
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この時の記憶は、リセットの狭間に消えましたが、本質は変わっていません。
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浅井ケイが、ナイフを取り出し……
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自分を人質にする事も、簡単に分かってしまいます。
それ位には、深い付き合いですからね。

そして、そんな津島先生の素晴らしい所は、優しい大人であるという事です。

※以下作中の台詞からの引用です
そいつは、貴方を刺せなくても、自分なら刺せる。
もし俺が車を止めたなら、次は浅井ケイ自身を人質に取るでしょう。
そんな手順、割愛した方が良いに決まってる。
そいつは、本当に暴力的なことが嫌いなんです。きっと大嫌いなんです。
嫌いなことをするのは、誰だって疲れる。
大人は、子供の面倒を見るものですよ。
どちらかが疲れなければならないなら、まず、大人から疲れるべきです
こんな事言える大人なんて、そうそういませんて。私も、自信ありませんし。
いつか、こんなカッコいい事言ってみたいって言う位に、私は津島先生のファンです。
ここの演技も含め、個人的には大好きなシーンですね!

そんなある意味激アマな、津島先生の協力を得られたところで、話はついに本題へ。

あまりにも『強過ぎた』浦地政宗

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この作中に登場してから、彼は始終、自分の目的へと脇目もふらずに邁進(まいしん)し続けました。

その目的の為に、

自分の記憶を巻き戻し手帳に残した
少数の犠牲を強いりつつ最大効率を得る様に行動したり、

正に最短ルートを、突き進んでいく様子が作中に描かれています。

ここまでの行動だけをとってみれば、彼はとても非情で冷徹な印象を受けます。

実際、前回のサクラダリセット成就の際は、住民の時間を勝手に巻き戻しています
幾ら、能力の無くなる過程で、記憶の改ざんが行われ、勝手に整合性が取られるとはいえ、いささか道義に反する行いである事は間違いありません。

更に、片桐穂乃果の様な、能力によって命を長らえていた人も、切り捨てました
作中ではハッキリと描かれておりませんが、能力のよって生まれたクラカワマリだって、どうなったか怪しいものです。

そういった犠牲が出る事を承知した上で、彼は行動を起こしました。
それは、彼の信念によって、彼の独断……言ってみれば、我が儘の結果、それは一度成されたのです。

では、彼は、本当に血も涙も無い、冷徹な人物だったのでしょうか?
それが違う事は、作中で細かい表情や行動で描写されていました。

『カルネアデスの板』の話の時は、まだ穏やかだった彼の表情も
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彼の両親の話に及んだ途端に、歪みます。
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明らかに不快そうな表情で、珍しく声を荒げるようにすらなりました。
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浅井ケイの解決策を聞いたとしても、彼はそれを受け入れようとしません。
できるならやってみれば良いのに、彼は頑なにそれを拒みます。
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※以下作中の台詞からの引用です
能力が一度、何かを救った所で、そんな事は何も証明しない。
例外的に上手く行った事を取り上げても、能力を肯定する理由にはならない。
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※以下作中の台詞からの引用です
なら、一体どれだけ救えば、能力は許されるのですか?
どれだけの人間を救えるものに、価値があるというんですか?
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※以下作中の台詞からの引用です
回数の問題ではない。
人は能力のような不確かな物に頼ってはいけない
あらゆる困難も絶望も受け入れて、現実から目を逸らさずに生きなければならない
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※以下作中の台詞からの引用です
現実から目を逸しているのは、貴方です。
能力は現実の一部なのに、見えない所に追いやって、知らないふりをして
空想の世界に逃げ込もうとしているのは、貴方です。
こうしたやり取りの中にも、彼の強い決意と意思を感じます。
そして同時に、彼の本心も伺えます。

浅井ケイの言うことが、或いは正しかったとしても、それでも、認める訳にはいかない。
何故なら、彼はその全てを乗り越えて、歩いて行けてしまうからです。
できるならばやらねばならないと、彼は信じているのです。

※以下作中の台詞からの引用です
浅井くん。
君の言っていることは、或いはとても正しいのかもしれない。

でも、君がどれほど正しくても、私の心は動かないんだ。
まだ私は、能力が悪だと思っている。それがどうしようもない事実なんだよ。
やっぱりだ、やっぱり君に、私は説得は出来ない
しかし、この言葉を聞けば分かる通り、残念そうに感じているように聞こえます。

彼だって、本当は辛いものは辛いのです。
苦しいものは苦しいのです。
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弱さを知らない彼は、強さで悲しみも乗り越えてきてしまったのです。

ですが、浦地正宗も、自分自身でも分からないくらい心の奥底では、説得されることを願っていました。

常に葛藤していた加賀谷

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彼は、ずっと葛藤していました。
勿論、自分がロックしてしまった、浦地政宗の両親のことについてです。

浦地政宗が、絶対的な強さの象徴であるならば、
常に葛藤し続けている彼は、弱さの象徴であるのかもしれません。

だからこそ、浅井ケイは、浦地正宗を説得するフリをして、彼を説得していました。
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最初のカラオケボックスで、智樹が出迎えていたのも、その布石です。

彼の能力は、声を届ける物ですが、相手を知らないと届けられません
だからこそ、最初の段階で、加賀谷の姿を確認したのです。
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そして、その後、何食わぬ顔で、当たり前のように対馬先生の車に乗り込んでます。

ここから、車内での様子をずっと加賀谷に伝え続けていたわけですね。
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彼を説得して、最終的に橋渡しするのが春埼の役目でした。
だから、彼女はあの場所に残り続けたのですね。

結果。加賀谷は、今回に関しては、浅井ケイを支持することになり、
浦地正宗も、その意見を尊重するしかない状況に追い込まれた訳です。

浦地正宗は、弱さを知りませんでした。知ろうとしませんでした。
だからこそ、加賀谷の心中を慮ることができなかった訳です。

ちなみに、索引さんは最後まで傍観者に徹していました。
それは、相麻菫との会話のときにも垣間見えていましたね。

彼女もまた、葛藤し、迷い続けていた側の人間だったということです。

和解 そして……

浦地政宗は、加賀谷の翻意によって、彼の計画であるサクラダリセットを遂行できなくなりました。
そうして、浅井ケイは、改めて助力を求めます。
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その方法は違えど、同じ様に咲良田の事を考える二人は……
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その手を取り合う事となった訳です。

ちなみに、この手帳を渡すことの意味については、既に書いたとおりです。
この手帳は、浦地正宗の記憶の代わりであり、計画の要です。

『ポケットに物を入れるのも嫌いなんだよ』と言う遠回しな言葉で、この手帳を預けることを告げました。
それを預けるということは、言うまでもなく賛同するという意味に他なりません。

そして戻ってきた相麻菫

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咲良田の外に出ていた彼女に能力の記憶はありません。
能力を持たない彼女は、本当に快活で普通の女の子です。
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ケイに会うことを楽しみにしつつ、髪を気にする相馬が本当に可愛い!!

ですが……。
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咲良田に戻ってきたことで、能力に関する記憶の全てを一気に思い出してしまいました。
それは、呪われた記憶であり、彼女の根本を歪めてしまう程、辛い記憶です。
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川へと飛び込んだ記憶すらも思い出してしまう彼女の心情を思うと、泣けてしまいます。
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そうして、相麻菫は全てを悟ってしまいました。
彼女の間違いと、その意味に。

それを知った上に、精神的に限界であった彼女は……倒れてしまいます。

さぁ、次で最後のお話です。
倒れた相麻菫と、浅井ケイと、春埼美空の物語が、決着を迎えます。

16話~24話までの相関図

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相変わらずの見にくい図ですが、少しでも参考になればと作りました。
正直、時系列を追うのが大変でして、間違っているところもあるかもしれません。
ちょっとした参考程度に、お願いします。

では、次回の記事でお会いしましょう。
相変わらず拙い記事ですが、ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

※本記事の画像は、 以下の権利者より引用させて頂きました。
問題のある場合は、削除致しますので、ご連絡下さい。 
©河野裕・椎名優⁄KADOKAWA⁄アニメ「サクラダリセット」製作委員会